迫る日銀会合とFOMC、注目イベントを前に何をすべきか

20日と21日に行われる日銀の金融政策決定会合、米FOMC(公開市場委員会)で決定される金融政策の行方に注目が集まっている。

 金融政策が決定されるタイミングや米国の雇用統計の発表がある時など、市場ではその予想が大きく取りざたされる。これによって、株価が右往左往させられることも多い。

 決算発表時も、「事前の予想より良かったか、悪かったか」で、株価が大きく動きやすい。予想を超えた株価の動きに直面して、イベントのたびに冷や汗をかいてしまうことも多い。もちろん、イベントを控えているときには極力保有する資産を減らしておくということでも良いのだが、逆に保有を減らすことでもうけるチャンスを逃してしまうこともある。

■ 結局は結果次第

 では、このような注目のイベントを前にして、投資家はどのように備えればいいのか。

 結局、米国の利上げについては利上げをするかしないか、日銀の金融政策決定会合でも追加緩和があるかないかということにつきる。したがって、利上げや追加緩和があった場合、なかった場合の双方を想定しておけば良いということなのである。

 利上げがあった場合には株価はどうなるか、為替はどう動くのかを考える。そして、発表が行われるまでに株価がどのように動いているのかを考えて、自分のポジションを決めておけばいい。

 具体的には、どうなったら利益を確定するか、あるいはどうなったら損切をするか、買いのポジションを増やすのか減らすのかといったことを事前に考えておく。

 また、利上げの影響、追加緩和の有無については、短期的な視点ではなく、少し長い目で見ておく必要もある。つまり、9月に利上げがなかったとしても、米国はいずれ利上げをすることはほぼ間違いがなく、好調な経済指標などが発表されて来れば、12月の利上げが確実視されてくるだろう。

 日本では同様に今回日銀の追加緩和がなかったとしても、「緩和傾向」には違いない。前回決定されたETF(上場投資信託)買い入れの額を減らすということも現状では考えにくいので、特に売り急ぐこともないだろう。

■ 重要なのはどれだけ織り込まれているか? 

 準備をする上で最も重要なのは、「想定されることがどれだけ現状の株価に織り込まれているか」ということだ。たとえば、昨年12月に決定された米国の利上げの際には株価に織り込まれており、大きな混乱もなくちょっとした調整で済んだ。

一方、今年4月の日本株の急落については、日銀の金融政策決定会合の前の週に、「追加緩和がありそうだ」との報道で買われていたため、反動で大きな下落になった。英国の国民投票の場合も、日本株も含めて「英国の離脱はない」、何も変わらないということを織り込んで堅調な展開となっていたことの反動があった。

 そう考えると、もし4月に日銀の追加緩和があったとしてもそれほど大きく上昇するということもなかったのであろうし、英国がEU(欧州連合残留となっても、さほど上昇しなかったのではないかと考えられる。

 では、我々が今、この時点で行わなければならないことは何か。繰り返しになるが、米国の利上げがあるかないかを予想するのではなく、米国の利上げがあった場合、そしてその場合に為替が円安に反応した場合、円高に反応した場合など、パターン化することが大切だ。

 そして、「何がどうなったら、どう対応する」ということを、「今週中に」、あるいは「すぐに」というように時間軸まで考えて準備を行えばいいのではないかと思う。

■ 「最悪のパターン」も想定する

 最悪のパターンを想定して、対処の仕方を考えておくということも必要だ。

 今回は、米国の利上げが遠のいたと市場では見られている。しかし、逆にこうしたときには、欧米市場で金利が上昇しているということも鑑みて、利上げがあるものとして身構えておくといいかもしれない。